【池袋暴走事故】日本の事故実態と飯塚幸三被告が残した日本社会の教訓

目次

上級国民、飯塚幸三被告に判決が下される

2021年9月2日。

池袋で暴走事故を引き起こした飯塚浩二被告(元工業技術院の院長)の一審判決が言い渡されました。

禁錮5年の実刑判決

求刑禁錮7年に対して5年が言い渡されました。

更に判決文では、「車に異常は認められず、故障をうかがわせる事情も一切認められない」とされ、被害者側の主張がほぼ全面的に通った判決となりました。

日本社会に投げかけたもの

この事件は社会に大きな影響を与えました。

上級国民」という言葉も、被害者が官僚だった事から事件後逮捕されず、容疑者と報道されていない点がその言葉を作りました。

逮捕には逃亡の恐れや証拠隠滅の可能性など、一定の条件があるようですが、8人の通行人を死傷させ、親子2人の未来を奪った重大性を考えれば、多くの国民が納得できない感情は理解できます。

そしてこの年、高齢ドライバーの免許返納件数は増加しまいた。

それだけ社会に衝撃を与えたと言ってもいいでしょう。

また、飯塚被告が主張する車の欠陥についても、そのような事実が無い事が検証で明らかになりました。

被害者家族の松永さんは、飯塚幸三被告の罪と罰を逃れたいとする事へや、裁判で否定や控訴する権利がある事なども認めつつ、客観的証拠が揃っている事に対して、無益な争いを止めましょうと冷静に呼びかけてました。

『判決 2021年9月2日』
禁錮5年という判決となりました。数々の客観的かつ科学的な証拠に基づき、事実認定は全て認められました。私としては、公正な判決をしていただけたと思います。判決文は…
『飯塚幸三被告人へ』
飯塚幸三被告人が裁判において「松永さんのブログを見ている」と言っていたので、9月2日の判決を前に私の願いを書きます。あなたの法律上の無罪を主張する権利は尊重し…

多くの人は、家族を奪った憎い相手にも、冷静さで呼びかけられていた点を考えさせられたのではないでしょうか。

交通事故件数の実態

この事件では先述の通り、運転し続ける高齢ドライバーが問われる事になりました。

飯塚被告は足が悪かったという点も、なぜそれにも関わらず運転を続けていたのかという疑問が生まれました。

政府統計ポータルサイト「e-Stat」が公開している、日本の交通事故におけるデータを、2019年と2020年分をグラフにしてみました。

2019年交通事故件数
2020年交通事故件数

高齢ドライバーの事故が問題視されていますが、実を言えば、高齢者ドライバーにおける事故発生件数は、他の世代よりも少ない事が分かります。

飯塚被告は事件を起こした当時は88歳でしたので、このグラフでは85歳以上に該当します。

事故件数だけ見れば、高齢ドライバーはそれほど事故を起こしていないという見方ができます。

2019年<令和元年>交通事故の発生状況|政府統計の総合窓口|
世の中のあらゆるデータ、統計情報をリストアップしています
2020年<令和2年>交通事故の発生状況|政府統計の総合窓口|
世の中のあらゆるデータ、統計情報をリストアップしています

交通死亡件数の実態

今度は交通事故の内、死亡事故について見てみます。

2019年交通死亡事故件数

交通事故件数は少なかったもの、交通死亡事故に関しては、高齢者の割合が多くを占めます

70代以上で言えば、全体の半数を占めます。

これは年齢とともにくる認知機能の低下が大きな原因だと思われます。

つまり、高齢者の方が死亡につながるような危険な事故が多くなるというわけです。

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2019年<令和元年>交通死亡事故の発生状況|政府統計の総合窓口|
世の中のあらゆるデータ、統計情報をリストアップしています
2020年<令和2年>交通死亡事故の発生状況|政府統計の総合窓口|
世の中のあらゆるデータ、統計情報をリストアップしています

高齢者への運転制限はどうすれば?

データからも分かるように、高齢者への運転制限は考えなければなりません。

運転免許には、取得可能な年齢制限があります。

それは運転技能や責任能力が伴わないと資格が取れない事を意味しています。

それならば、高齢者についても運転技能の低下や責任能力についても疑問が残ります。

本来、事故を起こした場合、運転者には救護義務が生じますが、高齢者にはそうした事も、若い年齢層に比べ難しくなるのでは?と私は考えます。

現在、高齢ドライバーの免許更新は厳しくなっています。

当然の処置と言えるでしょう。

一部では、免許を取り上げるなどの意見もありますが、私のように山間部に住む人間にとっては、自動車は足として必須だったりもします。

現状では、認知機能試験の強化など、更新手続きによる対応が現実的ではないかと、私は考えています。

交通戦争の解決には「技術」しかない

日本ではかつて「交通戦争」と呼ばれるほど、年間死傷者が出ていました。

第一次交通戦争1970年(昭和45年)の死者数1万6765人をピークとし、 第二次交通戦争の1988年には再び1万人超えの死者1万344人を出し、その後1995年までの8年間、毎年1万人以上が死亡事故がありました。

現在では年間4000人を下回るほど減りました。

2018年の交通事故死者数は3532人。2017年より162人減少し、1948年(昭和23年)統計開始以降の史上最小を更新
 警察庁は1月4日、平成30年中(2018年1月~12月)の交通事故死者数を発表した。発表によると交通事故死者数は3532人。これは警察庁が昭和23年に統計を開始して以降、最小の交通事故死者数となり、2017年より162人減少した。

啓発活動や法改正など、様々な要因はあると思います。

加えて、運転をアシストする技術の発展も1つの要因にはあると思ってます。

そして今後、交通事故ゼロを目指すには、自動運転などの技術的な発展が不可欠だと思います。

自動運転の責任の所在は大事だが・・・

自動運転の社会は、もうそこまで迫ってきています。

自動運転のレベル4やレベル5になれば、無人などの完全自動運転が実現します。

一方で否定的とも取れる意見もあります。

の議論の中には、責任の所在があります。

東京パラリンピックでも、不幸にも自動運転の事故がありました。

この件でトヨタの豊田章男社長は「パラリンピック中の選手村という特殊な環境下、視覚などに障害を持つ人の多い中で、自動運転車が運行することがいかに難しいかが、この事故によって明らかになった」と発言しました。

責任の所在は確かに大きな問題です。

しかし問題があるからこそ、解決には前向きな議論が必要ではないでしょうか?

一部では、否定的すぎて、自動運転に反対とも取れる意見もありますが、結果的にはテクノロジーの力は、交通事故を減らす事に役立つと私は思っています。

これまで、人類はどんな困難な様々な問題も、知恵とテクノロジーをもって解決してきました。

飯塚被告に話を戻せば、彼は「安全な車を開発するようにメーカーの方に心がけていただきたい」と発言していました。

元工業技術院の院長らしい発言とも言えるかもしれませんが、少なくとも、何の反省もなく、このような惨事を起こした人が言うべきセリフではないと思います。

しかし安全な車とは、答えは完全自動運転だと思っています。

そうすれば、飲酒運転の問題も無くなります。

免許制度も必要なくなります。

それとも、2025年に登場予定のSkyDrive社の1台200万円の空飛ぶ車が先か?

いずれにせよ、技術力をもって、誰も悲しい思いをしない社会が実現する事を望みます

https://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf
トヨタの自動運転車、パラ選手村での運行再開 選手との接触事故で一時中止 - BBCニュース
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