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岸田政権の最初の選挙は事実上の敗北
2021年10月24日。
総選挙の1週間前に、山口県と静岡県では参議院の補欠選挙が行われました。
結果は山口県では自民党候補が当選し、静岡県では接戦の末に野党系候補が当選しました。
成績は1勝1敗です。
しかしこれは、痛み分けではなく、事実上の自民党の敗北と言えます。
与野党対決構図の静岡参議院補選
今回行われました補選では、山口県と静岡県で、共に前自民党議員の辞職に伴う選挙が行われました。
この内、山口県は自民党候補に対して、共産党候補と元ユーチューバーの争いです。
一方の静岡県では、自民党公認・公明推薦の候補と、立憲・国民が推薦する候補と共産党公認候補の争いです。
総選挙のように野党共闘は成立してませんが、事実上の与野党一騎打ち構図です。
そしてこれは、今年の6月に行われた静岡県知事選挙とほぼ同じ構図になります。
更に興味深いのは、自民党公認候補の若林洋平氏は、前御殿場市長であり、先の知事選挙では、今回辞職した岩井茂樹知事選挙候補の応援をしていました。
一方の野党系の山崎真之輔候補は、先の知事選挙で勝利した川勝知事の懐刀とも言われる腹心です。
この選挙は奇しくも、知事選と同じ自民党 vs 川勝知事という側面があります。
自民党にとっては、総選挙の前哨戦であり、岸田政権初の選挙で、岸田総理自ら2度も静岡入りした負けられない選挙となりました。
情勢が何度も変わった静岡選挙区
私は静岡県民で、今回の選挙の有権者でもあります。
よって今回の選挙は、知事選挙が終わった頃から注視しておりました。
今回の補選出馬に最初に立候補表明したのは山崎氏です。
自民党は公募という形で、当時の御殿場市長だった若林氏を擁立しました。
自民党は、菅政権の支持率低下に伴い、補選でも苦戦を予想していました。
しかし岸田新政権に代り、告示日直前には、情勢調査で10ポイント程度、若林氏がリードして逆転しました。
ただ、時間が経ち、選挙戦になるにつれて、山崎氏が追い上げ、五分五分までもってきました。
そして昨日の投票日の出口調査では、山崎氏の優勢が伝えられ、結果は山崎氏の当選で幕を閉じました。
静岡での自民党の敗因は何か?
以上の経緯からも分かる通り、この補選は1勝1敗ですが、事実上の自民党敗北だと私は思っています。
なぜ静岡で負けたのでしょうか?
私なりに思いつくことを上げてみました。
①岸田政権へのモメンタム失速
誕生から岸田政権の支持率はさほど変わっていません。
ただ時間が経つにつれて、岸田政権の支持率が上昇しなければ、勢いは弱くなっていきます。
勢いで選挙を勝ち通すやり方が正しいとは思いませんが、そういう側面も合ったと思います。
②川勝知事の全面応援
逆に川勝知事が山崎氏を全面的に応援した事により、山崎氏に勢いがついたと思います。
私は反川勝知事ですが、先の知事選挙で6割の得票を取ったように、静岡県民の中には、川勝知事への支持・共感を持っている人が多いのも事実です。
③4選したばかりの若林候補への批判
若林氏は前御殿場市長として、去年は自治体初のコロナ補償を打ち出しました。
そのリーダーシップは評価される一方、今年1月に行われた御殿場市長選挙で4選したばかりでした。
つまり、1月に当選して8月には、補選の立候補のために辞職願を提出しております。
こうした姿勢が得票を下げた可能性もあります。
⑤敗北した知事選をそのまま踏襲?
若林氏の自民党選挙活動は、まさに知事選で行われた選挙活動とほぼ同じです。
自民党の大物議員が静岡県に現地入りして、各地で応援演説します。
違いを探せば、総理大臣が選挙戦序盤と終盤に2度も訪れた事くらいでしょうか。
元々静岡は、連合が強いと言われている地域です。
もう少し選挙戦に工夫は無かったのかな?と個人的には思いました。
⑥自民党政権への審判
自民党は岸田政権に顔を替えました。
しかし新型コロナ対策で、与党への批判を多くの人は忘れたわけではなかったと思います。
今回の選挙では、無党派層の6割~7割が山崎氏に投票したとされています。
ただ興味深いのは、山崎氏へ投票した層でも、岸田政権を支持する層は結構多くいました。
自民党としては、総選挙でも思わぬ痛手を被る事になるかもしれませんが、私は率直に政権交代はまず起きないのでは?と感じました。
⑦大票田・西部地域の敗北
静岡県は2つの政令指定都市、静岡市と浜松市があります。
今回の選挙では、東部・御殿場市長だった若林氏は東部で全勝しました。
しかし、西部では山崎氏が御前崎市を除き全勝しました。
中部ではほぼ勝敗は拮抗してますが、掛川市で山崎氏が高い得票率を取っています。
特に静岡県西部は、県内最大の人口を誇る浜松市があり、この西部地域の大票田で若林氏は差を付けられてしまいました。
これは、先の知事選挙でも似たような傾向が表れました。
総選挙はどうなるのか?
静岡の選挙結果が必ずしも、全国で同じとは限りません。
しかし、総裁選で県内議員の半数が岸田氏を支持し、その岸田新総理が2度も応援に駆けつけた選挙での敗北は、自民党にとって手痛く厳しいものと言わざるを得ません。
私も自民党には批判したい事はあります。
しかし、その受け皿となる野党第一党の立憲民主党は、共産党と政権交代のため手を組みました。
共産主義がどれだけ国を疲弊させ、混乱と混沌を招いてきたか、20世紀の歴史書を紐解けば一目瞭然です。
21世紀にも強圧政治を進める中国共産党をみれば明々白々です。
私は政権交代は起こらないと予想してますし、自民党がどんなにダメでも、共産主義がただよう政権を日本に樹立してはいけないと思ってます。
そもそも自民党のコロナ対応も酷かったですが、野党の国会対応も酷かったです。
今週の総選挙は、自民党にお灸を据えるという理由だけで投票せず、よく考えた上で候補者に投票する事が大事ではないかと、今回の補選を通じて改めて実感しました。