静岡県では2021年7月3日に、大規模な土砂災害が発生し、多くの尊い命が犠牲になりました。
同じ静岡県民として本当に痛ましい出来事です。
今回の災害で、一際、存在感を示す人がいます。
それは、静岡県の難波喬司副知事です。
難波副知事は、土木関係がご専門の国交省出身の技官という事で、今回、災害発生に関する記者会見を何度か開き、対応されてきました。
難波副知事の会見は、川勝知事よりも目立ち、存在感を示しています。
まず始めに申し上げる事ですが、このブログ、私のツイッター(@masa_zx_news)を見ていただいた方ならご存知かと思いますが、私はかなり川勝知事、川勝県政に批判的です。
それは先月行われた、静岡県知事選挙でも、徹底的に川勝知事を批判しました。
しかし、私の基本的なスタンスとしては、是々非々であり、今回の土砂災害を含めて川勝知事には疑問点がありますが、難波副知事の対応につきましては、私は評価しております。
あくまで私のスタンスですが、結論有りきで、野党のように何が何でも批判に持っていく事はしたくない、という事です。
もちろん権力の側をとにかく批判する事についても、私は間違っているとは思いませんので、これから私が、難波副知事を評価する点は、そうした視点やスタンスに基づくものとして、ご一読いただけますと幸いです。
私が難波副知事の記者会見を評価する4つのポイントをご紹介します。
目次
①記者会見の目的を明確化している
記者会見は7月15日までに5回ほど開かれました。
その中で、難波副知事は何度か口にしている事は、この会見の目的です。
- 誤解や憶測に基づく風評被害を生まないため
- 救助活動への二次被害を監視する事について
- 静岡県の初動対応の說明
- 全国で似たような盛土のケースがある事を踏まえ
- 原因究明ではなく、原因推計の段階である事
以下にて説明しますが、会見の目的を明確化されている点は評価いたします。
誤解や憶測に基づく風評被害を生まないため
災害発生当初、様々な憶測などが飛び交いました。
詳細は原因究明が進んだ段階になるでしょうが、現時点でそれらを払拭するため、ある程度 判明している事を公表しました。
救助活動への二次被害を監視する事について
土砂災害の山の下で救助活動されている方に対して、安全を確保しなければならないので、推計に基づく二次災害の発生可能性、あるいは推計が正しくない事を想定して、監視システムを入れるなどを說明されました。
静岡県の初動対応の說明
当初、行方不明者が20名と発表しましたが、その後100名以上と行方不明数を変更しました。
それらの経緯が、そのような意思決定に基づきされた事を說明されてました。
評価は様々でしょうが、私は明らかにされた事自体は評価します。
全国で似たような盛土のケースがある事を踏まえ
今回の件で、盛土への不安が全国的に高まりました。
何が危険で何が悪かったかを説明する事で、ある程度こうした不安を解消する狙いがあると說明されてました。
原因究明ではなく、原因推計の段階である事
上記の理由を說明する為、この会見は原因究明ではない事、推計や推測である事を強調されてました。
②事実・推計・推測を使い分けている
会見の目的を原因推計としてましたが、難波副知事が説明する際には、何が事実で、何が推計で、推測、憶測であるかを、明確に話されている点は評価できます。
人に物事を伝える上で、非常に大事な事だと思います。
③踏み込んだ発言をしている
難波副知事は、かなり踏み込んだ発言をしていました。
例えば、これから進む原因究明についてです。
それら資料の収集について、難波副知事は資料の改ざんなどは100%無いとは言い切れないと発言しました。
この発言は、政治家ではほぼ有り得ないでしょう。
確かに組織である以上、人が行う以上、それらは否定できません。
そしてそれらを解消する手段として、情報収集の段階で第三者による監視を入れれば解消できるという趣旨の発言もしていました。
これは、監視を入れる事を等、何も決まっていないので、最終的にはどのようになるか分かりませんが、少なくともただ単に「私達を信頼してほしい」よりは、よっぽど納得いく說明ではあると思います。
また、原因究明につれ、担当職員だけの責任でなく、組織や仕組みとしての問題点を洗わなければならない点を強調してました。
これについては、責任逃れ?と思う人も、もしかしたらいるかもしれません。
受け止めは人それぞれだと思います。
しかし、人である以上不正が起こるのもまた事実で、難波副知事がそうした仕組みをチェックするための例に出した、経理担当を通帳と印鑑を管理する人を分ければ不正を防げる仕組みを作れるという点は賛成です。
今回の件で、そのような仕組みを静岡県が構築できるか、しっかり見届けていきたいと思います。
④丁寧かつ誠実に質疑に応じている
難波副知事の会見は、全体として非常に丁寧で誠実だったと思います。
話は専門的で難しい部分もありましたが、なるべく丁寧に說明しようと例を出したり、ホワイトボードに書いたりなど、総じて誠実であったと私は思いました。
また、訂正をしたり、地質学者の塩坂邦雄氏に対する誤解から批判した点についても、自らの過ちを認め謝罪しています。
また、記者からの似たような質問も、前回説明した事としつつも、1つ1つ丁寧に対応されていました。
ある政治家なら「昨日言ったよね?聞いてなかったの??」とか辛辣に言いそうなものです。
しかしそうした威圧的な態度もなく、また、時間がなければ翌日に質問も全て答えられてました。
また、質問に対しても、前置きで説明しつつ、しっかり質問をはぐらかさず答えてました。
キャッチボールができているとも言えます。
政治家の禅問答・はぐらかすような事は、ほぼされていなかったと思います。
本来、これは褒められるべき事でなく、記者会見をする上で当たり前の事かもしれませんが、ストレスの溜まる政治家などの会見も多いため、難波副知事の評価が上がった点は、こうしたスタンスにもあるのだと思います。
川勝知事は難波副知事を見習うべき
私は難波副知事を総じて評価しました。
一方で、その上司たる川勝知事はどうでしょうか?
「天変地異の天災の新しい形」と天災である事を強調し、一部で批判を買いました。
また、別件ですが、県議会の自民党会派が、オリンピックについて面会を求めたのを拒否しました。
選挙当選直後、リニアでは「自民党とも共闘」などと発言した割には、あまりにも不誠実です。
有観客について「本県ならできる」という発言をされた事、說明すればいいだけです。
確かに政治家の川勝知事と、事務方の難波副知事では、立場が違います。
しかし、やはりそれらを差し引いても、川勝知事は不誠実な対応を取っていると、私には思えてなりません。
そう言えば、川勝知事の軽井沢への年末年始帰省を県議会で問われた時、自身の問題をあろう事か、難波副知事に代わりに答えさせました。
これほど優秀な副知事に対して、何ともな扱いだったと今にしては思えます。
優秀な部下が組織にいる事は大事ですが、やはり組織で一番大事なのはトップです。
川勝知事は誠実さくらいは、難波副知事を見習ってほしいものです。