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川勝知事、岩井茂樹候補を破り4選を果たす
2021年の第20回静岡県知事選挙。
告示は6月3日、投票日は6月20日です。
即日開票され、結果は既に多くの人がご存知の通り、現職の川勝知事が4選を果たしました。
私は岩井茂樹候補を推し、応援していただけに、とても残念でした。
なぜ川勝知事は勝てたのか?
川勝知事の4選。
これから様々な分析がされると思います。
私個人が思っている事をいくつか挙げてみます。
現職の知名度
川勝知事は2009年から3期12年間知事を務めています。
これは静岡県内では、圧倒的な知名度があります。
知事選挙では、現職の知事がリードしている状況で、情勢が覆る事はまず無いそうです。
現職の壁というのは圧倒的な勝因だったと思います。
リニアの県内における認識
静岡県外の方々の多くの見方は、静岡県がリニアを妨害しているという認識ではないでしょうか?
そしてそれは、超伝導リニアという、日本の技術の結晶が、いつまでも実を結ばない事。
三大都市圏を結ぶという夢を妨害している。
静岡には駅が作られないので駄々をこねている。
そういう認識で、静岡県、特に川勝知事に対して持っている方が多いのではないかと思います。
しかし県内では、特に政治に感心が無い層から見れば、リニアによって環境破壊・大井川の水が枯れるという心配は付きまとっています。
私も少し前まで、リニアによって県内の水が影響するなら、できればルート変更してほしいと思ってました。
しかし、科学的な根拠で言えば、100キロ以上先の下流域で水が枯れた例などなかったりもします。
私はこの問題は、とにかく科学的根拠に基づいて、解決されるべきだと、それは今でも思っています。
しかし、多くの静岡県民は、環境を御旗に掲げる川勝知事の戦略に乗ってしまったと、私個人は思っています。
岩井候補が、大井川流域へ選挙活動に入るまで、リニアや水問題の話をあまり積極的にされなかったのも、マイナスだったのかもしれません。
これは静岡県に限らず、地域の選挙において、国益のためとはいえ、自分たちの生活が犠牲になる事に、多くの市民が良しとしないはずです。
その点は私もネットで訴えてきたつもりですが、やはり主要メディアが動かないと、認識は変わらないと思いました。
自民党が後手に回り続けた
自民党は2009年に川勝知事に負けて以来、党本部の推薦候補を立てられませんでした。
自民党の好き嫌いはともかく、有権者に選択肢を示せなかったという点において、なんとも情けない話だと思っています。
県知事選挙がいつ行わるか分かっているはずなので、準備もしようと思えばできたはずです。
ところが、選挙戦2ヶ月前、ようやく浜松市の鈴木康友市長を擁立する動きを見せました。
ところが、浜松市長は断りました。
浜松市の区割りなどの課題や、後継者が居ない事を挙げましたが、恐らく川勝知事を意識したのだと思います。
川勝知事と鈴木市長は、同じ政令市の静岡市の田辺市長と違い、仲は良好です。
この事からも、自民党がいかに準備不足であったか分かります。
もっとも私は、鈴木市長が出てればという事もありましたが、仮に出られていても、川勝知事には勝てなかったと思います。
静岡県内で考えた場合、川勝知事のネームの強さは県内全域であり、また市政を途中で投げ出す市長を浜松市民が全面で支援したとも思えません。
自民党は、ようやく4月30日に岩井茂樹さんの擁立をしました。
ハッキリ言えば、準備不足もいい所です。
しかも、国交省の副大臣という事で、川勝知事が「リニア推進派が来た」と言い、県民を守る川勝とリニアをゴリ押しする国というイメージを作られてしまいました。
前述の通り、静岡県民にとってリニアはシビアな認識です。
私は、そんな不利な戦いに挑まれた岩井茂樹氏の男気や潔さには惚れています。
私は他に良さそうな党がないので、あくまで是々非々による消極的(消去法)に自民党支持してますが、自民党の静岡県に対する態度は、あんまりだと思います。
一枚板になれなかった自民党支持層
熱烈な反自民党の川勝支持者には、情勢調査で自民党支持層にも岩井氏が浸透していないのは、週刊誌で報道された「ハラスメント疑惑」を挙げる人もいました。
ハッキリ言って、私はそれは無いと思います。
この疑惑は根拠が乏しい点は、以前にも書きました。
そもそもの話ですが、静岡県民は、そのようなハラスメント疑惑記事がある所か、岩井氏自体あまり知らないと思います。
出口調査の、自民党の支持層でも4割ほどは川勝知事に流れています。
私は一枚岩にならない事自体は、共産主義国家でないので、健全な事だと思います。
しかし、川勝知事にはもっと私は批判されるべき点もあったと思います。
川勝県政への評価は、8割にも上っています。
しかし正直、何がそんなに評価されているのか、私には分かりません。
川勝知事には問題点も多かったはずです。
せめて自民党支持層にも、そうした県政の問題点がしっかり浸透していれば、私はもう少し違った結果になっていたのではないかと思います。
メディアは権力の監視という役割を果たしているのか?
どうしても現職知事と新人の争いは、現県政への審判という意味合いが強いです。
メディアは、選挙戦でも普段からも、しっかり伝えきれているのでしょうか?
例えば、今回の選挙戦では、静岡にある35市町のうち、20を超える首長が、川勝知事への批判や、岩井氏への応援を表明しました。
県と国だけでなく、県と市町の連携ができてないと言われています。
私個人の主観がどうしても入ってしまいますが、川勝知事の演説を含めた態度、これまでの数々の暴言を聞けば、私はむしろ首長さん達が訴えていた事は、まんざらではないと思います。
私自身も、日頃から県政をウォッチしている訳ではないので、正確な評価は難しいですが、ただ、県内メディはもっと、こうしたローカルな問題を伝えるべきだと思います。
地域の政治はとても大事なものです。
私は、メディアが人々が県の政治に感心が無いと報道する前に、国政選挙並に、ローカルニュースではせめて選挙期間中くらいは取り上げるべきではないかと思っています。
これは静岡県に限らず、どこの地方、そして国政においても、メディアの役割はずっと問われています。
放送法第4条における、政治的公平が、今のメディアに保たれているとは、私にはどうしても思えません。
どうでも良い話題をワイドショーで繰り返している場合ではないと思いますが、それが果たされる気配がないのが残念でなりません。
これからの静岡県、川勝県政はどうなるのか
開票作業が終了しました。
川勝知事は、前回選挙で83万票とりました。
今回は96万票弱なので、前回より多いですが、得票率で見れば、59.67%から60.5%なので、それほど変わらないと言えます。
注目なのは、35市町の状況です。
前回は、静岡市だけ川勝知事は勝てませんでした。
今回はその静岡市でも川勝知事は上回り、川勝知事が岩井氏に勝てなかったのは熱海市と東伊豆町です。
正直、岩井氏のホームタウンである三島市で敗北している事は以外でした。
川勝知事地盤の西部、浜松市は、天竜区の57.2%を除けば、他の区は全て6割を超えています。
大井川流域市町も吉田の唯一の7割に加え、6割の票が流れています。
以上の事から、静岡県政はもちろん継続になるのですが、今以上にリニア問題に対しては、国やJRに強行になる可能性もあるかもしれません。
また、恐らくですが、流石に次の2025年の県知事選挙には76歳になっているので、出馬しないと思います。
川勝知事の事なので、どうなるか分かりませんが、自身が最後と定めているのであれば、これまで以上に好き放題、言いたい放題するかもしれません。
静岡県民はどうすればいいか?
静岡は、連合などの組織が強いとも言われてますが、県議会などは自民党が多数派を占めています。
決して自民党が弱い県ではないと、私は思っています。
現に、自民党支持層がここまで流れなければ、川勝知事は再選できなかったと思います。
私も静岡県民ですが、私達静岡県民にできる事は、政治をしっかり知ることが大事だと思います。
誰がやっても同じかもしれませんが、世界では民主主義がない国の方が多いです。
香港では、自由な選挙ができず、多くの社会的混乱が生じた事、私達の記憶にも新しいと思います。
誰を選ぶかは、本当に大事な事です。
選挙は人気投票にしてはいけません。
かつては、婦人参政権もない時代がありました。
私達は日本、地域、そして社会の一員です。
より良い民主主義社会を発展させ、私達の生活も少しでも豊かになるように、選挙の立候補者をよく調べ、貴重な一票を投じましょう!
それは、県外の皆様にとっても同じではないかと存じます。
私は今回、初めてネットでの選挙活動をしました。
少し岩井候補の応援に力を入れすぎて、客観視する部分に冷静さが、もしかしたら欠いていたかもしれません。
私ももう少し視野を広げるように務めていくつもりです。
都道府県知事の選挙は本当に大切!
愛知県では、リコール運動が行われました。
この活動は、残念ながら不幸な形になりましたが、リコールへのハードルが高いことが、改めてよく分かる事例でした。
今回の静岡県知事選挙を通じて、県外からも沢山の声や応援が寄せられました。
中には、「県民でないのに口を出すな」という方もいました。
私個人としては、投票は有権者がするものですが、特に都道府県知事というのは、日本国民全体にも関わる問題だと思います。
私はここ数年で、本州と四国の全ての都府県に行きました。
観光政策、コロナ対策など、地域によって違いがあります。
私達はこうやって、国内の様々な場所を訪れる機会があります。
決めるのは有権者ですが、その地域でどんな政策が行われているか、感心を寄せること、応援する事は決して悪いことではないと思いますし、無関心よりもずっと良いと思います。
しかも都道府県知事というのは、強力な権限、広大な地域を管轄しています。
例えば、世田谷区の人口は94万人弱で、一番都道府県で人口が少ない鳥取県は、57万人です。
人口だけなら1.5倍以上開きがあり、今後も開きそうですが、面積・権限においては、鳥取県は山陰地方の重要な管轄をしています。
その強大な権限を持っている知事を選ぶ点において、感心はもっと寄せる事は悪いことではないと思います。
今回、静岡県知事選挙では、残念ながら私の推していた岩井茂樹候補は落選してしまいました。
本当に心の底から残念です。
ですが、こうして政治とは何か?を改めて自分自身、学べた気がします。
次回の県知事選挙は、来月の兵庫知事選挙です。
現職の井戸知事が引退されるという事のようですが、兵庫県民の方が悔いのない選択ができる事を願っています。